教室内(スクール)カースト

教室内(スクール)カースト (光文社新書)

教室内(スクール)カースト (光文社新書)


著者は東大・教育学の博士課程の方とのこと。
本書は修士論文に大幅に加筆をして、かなり一般の方にも読みやすい筆致で書かれているように思います。


内容としては、生徒の中に形成されるグループ→層構造を明らかにするために、生徒への定量調査・デプスインタビュー、先生へのデプスインタビューという定性・定量を複数の立場の対象に行っています。
構造を生徒内と先生内の両視点からアプローチし、全体としての構造を把握するという、かなり秀逸なアプローチだと思います。


本書は定量、定性調査を組み合わせた考察がされており、僕たちリサーチに携わる人間にも決して無関係ではありません。
傾向的には定性的解釈が主体です(これは、読者層に合わせているのかもしれない)。
一方で、定性データに依拠した論旨展開に展開に強引さがみられる点が多々あり、ちょっと大丈夫かなぁと思う点もあります。
とはいえ、読み物としていいのでしょう(裏ではもう少し固いエビデンスに基づいて展開しているのかもしれません)。


思い起こせば、僕のときにもここまで顕著ではないがこうしたスクールカースト構造はあったと思います。
僕なんかは下位カーストにいたわけで、上位カーストのデプスなどをみると思わず眉をひそめてしまいますね(笑)


また教師側がとらえている構造は所謂社会人のシビアな視点でして、いずれにしても、下位も上位も危機的な状況に、陥る可能性がたかい構造である、ということを論理というより感情的に感じました。
とはいえ、前述の論旨展開の懸念があるので、追研究が求められるところでしょう。