データサプライヤー

ちょっと昔の記事ですが。
○ewoman 日産・星野氏の記事

当時は広告代理店の下請けの仕事が多く、ひとたびリサーチ結果のデータを渡したら、その先のことは関知しないというケースがほとんどでした。

そこで、結果がどうなったかわからないような、データサプライヤーのような仕事をしてはいけない。求められていなくとも、リサーチの結果どのような戦略を立てるべきなのか提案しなくてはいけない、などと言い続けたところ、「じゃあ、あなたの好きにやってください」と言われました。


ここで語られている当時の星野さんは社会調査研究所(現・インテージ)社員ですね。大体20年弱ぐらい前でしょうか。
こうした彼女のような先人は旧社調研以外にもいたわけで、そうした方々の活躍もあり、「データサプライヤーだけ」から「マーケティングリサーチャー(データサプライヤー的立ち位置強)」になってきたのが今の状況なのかな、と個人的には感じています。
僕などはその過程を見ているわけではないので、この時間を実際に現場で生きてきた人には別の光景が見えているのかもしれません。
ぜひ、それは後進への財産としてひとつお聞かせいただきたいものです。


さて、たまたま以下の本を読んでいます。別途書評は書きたいと思いますが。


選ばれるプロフェッショナル ― クライアントが本当に求めていること

選ばれるプロフェッショナル ― クライアントが本当に求めていること


所謂、コンサルタントやアドバイザーとしてあるべき姿を描いています。
自分の日々の悩みが序の口であり、クライアントファーストの実現にはハードルが高いと痛感させられます。
(これは、現場を知り、自社を知るほど、つまりさまざまな構造を理解するほどハードルが高いことに気づいていく、ということです。)


MRはデータサプライ機能とアドバイザリー機能を志向している(やりたい)ところでしょう。
僕個人の印象として、後者に優れている人はほんの一握りです。
(僕は当然ながらそこには含まれていないでしょう。)
しかしながら、後者を強化するのは全くもって容易ではありません。
容易でない理由は多くありますが、人材育成力の薄さもその一つではないかと思います。
(余談ですが、それにもそれなりの理由があるように思えます。結果として負のスパイラルが起きているのでは、と危惧もしています。)


データサプライヤーとしての機能は非常に重要で、そこの強化・改善・革新は不可欠です。
加えて、アドバイザリー機能についてもチャレンジし続けることも不可欠だと思います。
ここでいう、アドバイザリー機能は顧客のビジネスプロセスに「寄り添う」もので、似非コンサルタント然として、それっぽいどこかで仕入れた知識を披露しながら、既存サービスをそのまま売り込むことではないでしょう。
残念ながらこうしたことで、クライアント自身から不評を買ってしまうケースをWeb上にチラチラ見かけたことがあります。
「データサプライヤーに徹しろ。」
クライアントにとって、データサプライヤーに徹してほしい場合もあるわけですから、その場合にこうした箸にも棒にもかかりそうもない「提案」をしてしまえば、当然そう言われるでしょう。
ただ、これはアドバイザリー機能を持つ必要がないという話ではなく、クライアントのプロセスと自分たちとの立ち位置を見極められなかった、「寄り添えなかった」ことによるのではないかと思います。
まぁ、すっごい難しいでしょうが。



業界自体がどう進んでいくか、そんなことは僕にはおいそれと言及できませんが、自分自身の話としては、地に足をつけていきたい。
そう思う次第です。