もっと忙しくしたほうがいい

数年前になりますが、とある学会のセミナー合宿で久々に大学院時代の先輩とお話しする機会がありました。
合宿終了後のバスの中でという20分くらいの短い時間でしたが。
先輩は大変優秀であり、おそらく努力家でもあり、チャレンジ精神に溢れている方で、僕ではそのスゴさがあまり伝えられそうにないですが、非常に尊敬できる方です。
その先輩と近況を話していくなかで、自分の仕事の話にもなりました。


当時、僕は顧客担当→統計的アプローチを担当するセクションについた後、開発部門にいました。
もともと顧客との折衝の中でリサーチ・データ分析のスキルを磨いていきたい、という志向がありましたので、色々とモヤモヤしたものがある中でした。
自分の中のドライバーが失われた感じだったように思います。


先輩との話の中で、そんなところも少し話したような記憶があります。
そんなとき先輩が「もっと忙しくしたほうがいいよ。」とアドバイスをくれました。
その時は、なるほどー、と思ったのですが、結果的にはそれを仕事上の糧にすることはできませんでした。


開発担当セクションの場合、特に、自分でドライバーを見つけて、育てていくような「自家発電」的な志向が必要であるように思います。
僕には当時その志向の重要性の認識や実行が欠けていました。
自己の中での逡巡、他者を巻き込んでの検討・推進。
そういったトライアンドエラーをあきらめず続けていくこと。
そして、当然ながらすべての仕事においても重要な志向です。


当時の僕は与えられた仕事やそれより1段階上位の仕事はソツなくこなせていたと思います。
でも、顧客担当セクションにいるときより外からのプレッシャーは低く、自家発電もしない状況では以前よりは「忙しく」ありませんでした。
ウチの業界に限らず、慢性的に若手が多忙を極める現代においては非常に恵まれているケースです。
その隙に色々と勉強会に顔を出したり、知識をため込んでいきました。


ただ、それだと「筋肉質な」成長はしないんですよね。
しばらくするとそれが目に見えて実感するようになります。
どんなに本や勉強会で知識を得てもダメです。
自ら、あるいは他者からプレッシャーをかけること、そういう環境に身を置くことが自らをストレッチするんですね。


よく「20代のウチに限界まで働かないとそこから先は大きな仕事はできない」といいますが、あながち根性論でもないような気がします。
もちろん必要条件ではないでしょうし、個人差もあるので。
ただ、自分の場合はそういう環境が必要なのだと思います。


最近、少しずつ忙しくなってきていて、その中で改めて色々と「勉強」しています。
後輩のほうが自分より優れているところを目の当たりにして悔しいな、と思うこともあります(その後輩は「ストレッチ」してきたのですね)。
忙しくしてこなかったことへの後悔もあるわけですが、そこに目を向けていても始まりません。
とにかく、今、そして明日以降になにをするかですね。


先輩に言葉をいただいてから数年経ってしまいましたが、その意味するところを噛みしめて愚直に取り組んでいきます。