職人芸とデータマイニング

先日参加・発表してきた行動計量学会で、同じセッションに発表されていた芳賀先生の研究が非常に興味深かったです。


分析者にとって事前知識が少ない分野の論文抄録をテキストマイニングすることで、知識体系の理解と効率的な学習に関するメタ視点の気づきを得るという内容でした。
まぁ、もちろんテキストマイニングを実施して、出力を分析・体系づけられる計量の技量は必要なわけでなんですが、結構実務でも期待できるアプローチなのではないかと感じました。



ウチの会社なんかは特にそうですが、リサーチャー毎に得意業界があって、そこに対して分析・洞察に必要な知識を持っています。
新しくその業界知識を学ぶ人は、一応先人のアドバイスに則って学習していくわけですが、そこまで体系化されているわけではなく、相応の時間が必要になります。
職人の鍛錬に似ているように思います。
一方で、昨今では、ある程度体系的に人材を育成する必要も出てきています。
そこに対する有効策は・・・まぁ難しいところです。


レポートサマリは大量に各社とも蓄積しているわけですので、このあたりを整理してみると各業界に必要な視点を体系化できるかもしれませんね。
こうした定量的なアプローチの優れているところは、ある程度広範囲の人にエビデンスを通じて伝えることができることです。
もちろん、このアプローチはナレッジの一端を示すに過ぎないかもしれませんが、各人がイチから道具無しに登山を始める状況や口頭伝承のみで技術を伝えていくことから比べたらずいぶんと助かるかもしれませんね。