調査の構造化

ソーシャルメディアの利用が広がってくると、

「データは無尽蔵にあるんだから、そこからマイニングすればリサーチいらないじゃん!」

という言説がちらほらと出てきます。


同じトーンの言説は、2000年前後のDBマーケティングブームのときにも起こったなぁ、と思い返します。
そのころはID-POSデータがあれば、もうリサーチいらねーじゃん的な話だったと思います。
(まぁ、特定店舗のマーケティング戦術構築に限定していえば、強ち間違いではない気もしますが)
当時、私は学生で、「へぇそうなんだー」と思って聞いていました。


結局、消費者特性を理解する上では購買行動特性のみ捕捉するのには十分ではありませんでした。
特にブランドマーケティング領域においては、まだまだリサーチが必要とされたのだと思います。


大量のデータがあれば、そこから有益な知見が生み出せる。


私個人の浅い経験で恐縮ですが、そんなに安直ではないと思います。
「ゴミ」はいくらパイルされても、そこからは「ゴミ」しか出てこない。
(ここでいう「ゴミ」は調査目的に適合しないデータとしましょう。)


だから、データは収集時に「構造化」をすることが重要なんだと思います。
当然、構造化にはメリット・デメリットが存在します。


一般に構造化をすることで、予め目的に則ったデータは得やすくなる一方で、それ以外のデータは失われます。


心理学の面接手法には「構造化面接」「半構造化面接」「非構造化面接」があります。


構造化面接はフローをガチガチに固定して行う面接手法で、統計的な処理等はしやすいですが、対象者の自由な回答は得られません。
非構造化面接はフローは緩く、自由な回答が得られますが、統計的な処理はほぼできません。
半構造化面接はその中間、といったところでしょうか。


データを構造化をすることで失われる情報も存在しますが、鮮明になる情報もある。
私はマーケティングリサーチが存在する意義はそこにあるような気がしてなりません。


今日はここまで。