マーケティングリサーチの研究

昨日は、twittcherの会で中央大学・田中洋先生の講演でした。


夏に出版された『課題解決!マーケティング・リサーチ入門』の周辺にまつわるお話で、共同執筆者のリサーチャーも交えた実務色の強い有意義な内容だったと思います。


印象に残ったのは、どちらかというと講演の中心ではない部分。
田中先生の講演の中にも、そして後半のexperidge・岸川さんの質問にもありましたが、学会でリサーチに関する研究を実施している、影響を与え続けている研究者が少ないということです。


やはり、研究者の絶対数が少ないように思います。マーケティングサイエンスの研究者に比較しても、圧倒的に少ない。
浅学な私の知っている範囲では、大隅先生、長崎大・吉村先生、埼玉大・松本先生、統数研・吉野先生、土屋先生、前田先生、名古屋大・星野先生。
特に若手の研究者はほとんどお目にかかったことはありません。


一方、リサーチ会社のほうからアカデミックへのアプローチも可能でしょうが、これは難しい。リサーチ会社の中でも品質研究は行われていると思われます。しかし、品質研究は、未だ競合差別化を行う上での一要因になっているのが実情です。
したがって、社会調査系のノウハウ(日経リサーチさんや各新聞社さん)は学会などでも公表されますが、マーケティングリサーチの品質研究のノウハウは表にでにくい。


アカデミックがこの分野を牽引していく(もちろん業界も協力して)のが理想的な形ですが、いささか事例が少ないのが現状です。(日経リサーチさんと星野先生の研究などが行われていますが)
一方で、リサーチ会社はノウハウを公表するメリットが現状では少ない。
昨日の会でも懸念されているように、欧米の業界とJapanのリサーチ水準の乖離がいつまでたっても埋まりにくい状態にあるのでしょう。


では、どうすればいいのか?
研究者の層拡大は容易ではありません。また、層を拡大するのに魅力的な分野でなくてはなりません。日本のリサーチ業界は果たして研究者がそれ主に研究するのに魅力的な場なのでしょうか?
業界団体がこの状況を受け止め、品質研究をリードしていく。学会も巻き込んで。というのが、現実的な路線なのではないかと思います。
・・・難しいことには変わりないですが。

課題解決!マーケティング・リサーチ入門』のようにノウハウが流出しない程度に、ギリッギリのラインで公に貢献するような情報発信を行う。その絶対数を増やす。
そこから、始められないだろうか・・・と思います。


今日はここまで。