GILT(ギルト)――ITとファッションで世界を変える私たちの起業ストーリー

GILT(ギルト) ITとファッションで世界を変える私たちの起業ストーリー

GILT(ギルト) ITとファッションで世界を変える私たちの起業ストーリー


少し前に仕事で行き詰っていたことがあって、キャリアカウンセリング的なものを受けたことがありました。
深刻な話というより、漠然とうまく整理がついていないことがあったのでホントに軽い気持ちで。


で、色々とそこで話しながらアドバイスをもらったわけでなんですが、流石、プロですね。
一応、僕も心理学を多少かじっていたわけですが、やっぱりプロは導き方とか気づきの与え方がスゴイなぁと。


それはさておき、いくつか適切なアドバイスをもらった中に「起業家精神みたいなものに触れてみるといいんじゃない?」という趣旨のものがありました。
なるほど、自分の中にはなかった引出しではあります。
で、読んでみたのがこの本です。


米・ショッピングサイト運営会社ギルト・グループの創設者である二人の女性による、起業から現在にいたるまでの回顧録です。
僕はこの本を読むまでこのショッピングサイト(セールサイト)は知らなかったのですが、日本にも09年頃に上陸して、現在も運営されている模様です。


結構長い内容なのですが、起業時の様子を戦略構成、資金調達、チームビルディングなど視点別に回顧しており興味深いです。
戦略的でありながら、ベンチャー初期でよく描かれるトラブルを解決しながら進めていく構成になっています。
純粋にこうしたプロセスを疑似体験をするだけでも面白いと思います。
特に、トラブルやハードルの部分は「おいおい、こういうの先に考えとかないの?」と素人目には思ってしまうところもあるわけなんですけど、結局、生き馬の目を抜くような創設期においては基幹を捉えた上で、ハードルをいかに乗り越えられるチームをつくるかが重要なんだね、というストーリーになっています。


創設者の二人の女性はそうそうたる経歴をもっていて、ファッション・Eコマースの両方での実績もあります。
「だからこんなうまくいったんじゃない?」という話でもあるわけですが、先に述べた「チームが上手く機能していること」と、その前提となる「信頼の構築」がいかにできるかが重要であることが示されているようにおもいます。
(確かに。つくづくそう思わされるわけですが。)


本書では創設者の生い立ちも書いているわけですが、経歴よりも、彼女らのパーソナリティが構成されるまでの過程が非常に参考になります。
「あー、アントレプレナーシップと呼ばれるものの原形はこうしてはぐくまれるのか」と。
とはいえ、当然ながら、皆が皆そうしたパーソナリティを持っているわけではありませんし、それを悲観する必要も全くないのかなぁと思います。
(「カリスマ経営者」を目指すならともかく。)


彼女ら自身も単独で成し遂げるわけではなく、だから、「誰と一緒に働くか」であったり「一緒に働く人たちとどうコミュニケーションをとっていくことが」が重要なわけですねぇ。
そのためには自分がオープンな精神を持っていたり、「しっかりと伝える」スタンスを持っていることが重要なんだなぁと改めて思いました(もちろん、思いやりや尊重も、ですね)。


大小かかわらず物事をなすためには、実行力・思考力を鍛える・備える必要はあるわけでなんですが、ハードとなる「健全なスタンス」がパフォーマンスを発揮につながってくることを学んだ気がします。
もっと気軽に言えば、「どんな状況であれそういうスタンスもっていたほうが『楽しい』のでは」、と思うわけです。


長い本ですがハマれば、読み続けてしまう本であります。
(僕はハマったのですが、もろもろ中断あり2週間くらい読了までにかかりました。。。)