実務の実験計画法

○実験計画の最適性について (お問い合わせに答えて)


@shig_onoさんによる、サラリと書いているような印象とは裏腹に、読み手にわかりやすく実践的な、当該分野だと稀有な文章だと思います。


僕自身は心理統計学がアカデミックの出自なこともあり、基礎レベルの実験計画法はなじみ深いものでありますが、今回の文章を拝読して色々と整理されるものがありました。

 流れ流れて市場調査の会社に拾って頂いた当初,いろいろ面食らうことが多かったのだが,実験計画法? そんなのどうでもいいですよ,科学者じゃないんだから,と真顔でいわれたことがあって,このときも言葉を失った。たぶん実験ということばは,実験室やら白衣やら,おぞましくもアカデミックななにかを連想させ,人を思考停止に導いてしまうのであろう。


この辺りは、割とバッググラウンドが近似した人たちが共通して受ける洗礼で、理想と(いろんな意味での)現実に戸惑い、大体が思考停止するか他の道を歩むかという選択をするわけですが、こうして清濁併せ飲みわが道を切り開く@shig_ono先生(もう先生でいいですよね)には敬服する次第です。


あんまりこうしたトーンが進むと褒め殺しになってしまうので、本文章の優れている点をまとめると、

  • 非常に簡単な構造のデータを用いて説明してくれている
  • シミュレーションを用いて、脳が理解しやすいようにストーリーを作って説明してくれている
  • 調査屋になじみ深い直交計画の実験計画の中での位置づけを、ストーリーの中で解説してくれている
  • 調査屋が無視しがちな交互作用についての正しい解説をしてくれている
  • 最適化計画って実務で応用価値あるよね?試してみたくない?まずはやってみれ、と励ましてくれる
  • レゾリューション・スリーという声に出して読みたい言葉を覚えられる

にあると思います。


実験計画を一度学んだことのある人はさくっと読めて感動しますし、学んだことがない人でも繰り返し読んでみてください。興味がある人ならGoogle先生を引きながら読めます。それほどわかりやすく書いてくれています。


僕のようにいい具合にリサーチ業界につかり始め思考停止しかかっている人間が、突然アカデミックな要請の基に取り扱おうとすると色々と大変だったりします。
なので、こうした機会に再度考え方を振り返ることが重要だったりするんですね。
(これからリサーチ業界入る、もう入ってしまった類似バックグラウンドの若手はちゃんと自分のバックグランドを大事に懐に抱えておきましょう。)


というわけで、リンク先の文章に感銘を受けた方は@shig_ono先生に励ましのお手紙を書いてみてください。

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