JMRX勉強会【ソーシャル・メディア・リサーチ最前線】に行ってきた

JMRX勉強会【ソーシャル・メディア・リサーチ最前線】に行ってきました。


トピックはオンライン定性リサーチとMROCs(Marketing Research Online Communities)についてでした。
スピーカーの岸川さんが先月末にマカオで開催されたQRWEBカンファレンスに参加された内容を報告してくれました。


詳細資料は来週火曜日にみんなのMR.COMさんに掲載予定とのことなので、要Checkです!


岸川さんからはカンファレンスの3人のスピーカーの内容について報告がありました。


Qualcore.comのJeff氏(だったか?)からはオンライン定性リサーチの歴史とその運用のコツについての発表だった模様。


ポイントとして「Inspire attendance(参加の刺激)」、「Maximize productivity(生産性の最大化)」、「Foster interaction(相互作用の促進)」が挙げられていました。それぞれに対して、具体的な施策が取り組まれているようでした。


Lattitude社の方、そして岸川さん自身はMROCsについてお話になられたようです。


このお話を聞いて、私自身、少しMROCsを無理やり定義づけようとしすぎていたのかな、と感じました。


基本的には、長期間に相互作用が起こる環境を醸成しながら行うと認識していたのですが、先行して取り組んでいる各社は様々な仕様を想定しているようです。
サービスラインナップを顧客の意思決定スピードに最適化(あとは、サプライヤーサイドとしては「売りやすくする」)ためには、なるほど自由度をせばめる必要はないのでしょう。


岸川さん資料にあった以下のモデルはMROCsの理解を深めるには絶好の資料だと思います。




共通の興味(Common interests)をもつものが、交流することを通じて(Interaction)、関係性を構築し(Building relationship)、そこで自然な会話が発生します(Creating natural Conversation)。その関係性は、さらに強化されて循環します。分析者は発生する自然な会話を傾聴(Listening)することでインサイトに近づくという


従来の定性調査と大きく違うとされているのはCommon interestsとCreating natural conversationの部分。


Common interestsは消費者属性、行動の定量化等で構成される対象者条件とは異なり、優先されるのは調査トピックについて「共通の興味」を持っていることが必要とされるということです。
リクルートの先に実施するコミュニティでのワーク(ワークという言葉が適切かはわかりませんが)を行う上で、これが不可欠になるというのは比較的納得しやすくはあります。


また、natural conversationは、通常の定性とは異なり、比較的長い時間をもって醸成される関係性から生まれる自然な会話にこそ、従来とは異なる情報を発見しうるということのようです。
(正直、僕自身は定性調査を得意としていないので、ここの部分の可能性に鈍感な部分があります。)


このモデル、基本的には私は「なるほどー」とMROCsに対する理解を深められた気がしました。


本日のお話(特に岸川さんの提示したモデル)を受けて、いくつか考えたこともあります。
今日はそのうち2つを以下に。


一つ目は、「Common interests」を持った対象者をどのように集めるのか。


方法はおそらく多岐にわたるのだと思います。
メーカーさんが持つブランドコミュニティは特定のトピックに対して興味があると想定されますので、そこからリクルートできるでしょう。
また、既存の調査会社が持つパネルからも、Askingベースではありますが、ある程度interestsを定量化できるのではないでしょうか。


いずれにしても、コミュニティの「構成員の質」の重要性が高いというのはうなづけます。
ここはMROCsを実施する上での要となりそうな気がします。


二つ目は「natural conversation」からインサイトを導く方法論です。
この辺りはオンライン定性に長けている企業さんならば、もう既にノウハウがあるのかもしれませんが、基本的には、ログを読み込みすることになるのでしょう。


ただ、100s、3ヶ月間もあるプロジェクトの場合、読込からインサイトを導くのは非常に困難なように思います。
おそらくはかなり「分析者自身のセンス」が重要になることでしょう。


しかし、それは一方で大量の情報量を持つ定性データソースから本当に効率的にインサイトを切り出してきているのか、という疑問にあたります。


そこで、自然言語処理や対象者の相互関係を定量化した情報とあわせて、定性情報の解釈をするというアプローチで、コミュニティから生み出される情報を最大限に活用するというのはどうでしょうかね?


そうした情報の切り出しを行う定量分析に長けたエンジニアとオンライン定性に長けている分析者がタッグを組んで、クライアントと共にインサイトに近づいていく。


なんとなくそんな世界を帰りの電車の中で考えてしまいました。


今日はここまで。