消費者行動研究セミナー
今日の午後は消費者行動研究セミナーに行ってきました。
場所はオサレタウン、青山。
このままセミナーなどいかず、ぶらぶらと歩きたいっ!!!
という誘惑をおさえつつ参加。
今回のテーマは「クチコミとソーシャルメディア:インターネットと消費者行動の現在とこれから」。
学界、実業界から多様な背景の方々がスピーカーでした。
役割としては、
山本先生:ソーシャルメディアの学術的視点での分析
清水先生:ネットでの消費者行動を学術的視点でアラカルトで紹介
cookpad・森本氏:ソーシャルネットを利用したビジネスを仕掛ける側
HONDA・村井氏:事業会社のコミュニティサイトの利用
facebook・児玉氏:ソーシャルネットワークプラットフォームのエバンジェリスト
といったところでしょうか。
印象としては「結構、各人の視座が違う」。
ソーシャルネットを議論するには一部の人は参加しにくいし、コミュニティサイトに振ってもこれまた一部は参加しにくい。
共通項があるようで、結び付けにくい。
とにかく、パネルディスカッションはなかなか盛り上がりにくい様子でした。
さて、各人のお話のまとめをば。
■山本先生:ソーシャルメディアにおけるクチコミの価値
・クチコミの可能性は企業のMK活動の支援にあり
・ソーシャルグラフの可能性は巨大な顧客DBがつながり(対人影響の規模、強さ、文)を含んで評価できることにある
・顧客のネットワークを紙した金銭価値に関する研究
-モバイルSNSの11ヶ月、7万userのデータを利用→MonetaryValueの計算
-MVの計算には直接紹介による金銭価値と間接紹介による金銭価値を紙する
-結果としてMVに着目する場合、消費ベースで間接消費を期待できるユーザーを抽出できる
(感想)MonetoryValueのモデル式みると「そりゃそーだ」という帰結なのだが、原典を読まないとなんとも・・・。ここからDLできる(PDF)とのこと。
■清水先生:インターネット時代の消費者行動と戦略
【私見】「戦略」の話はなかったような・・・。
死神とキキミミとメディアバリュー研究と+α。
なので割愛。
■クックパッド・森下氏:ソーシャルとコマーシャルの両立
・ユニークユーザーは1069万人。現在はPCに比較してモバイルのPVが多い。
・モバイルとPCのアクセスピークは違う(モバイル:18-19時、PC16-17時)
→【私見】ユーザー層が違うんだろう。
・ノンインセンティブで利用するユーザーのモチベーションとは
-反応が返ってくる・誰かの役に立つ・自らのファンを形成できる
-モチベーションを喚起するための仕組みがちりばめられている
-つくれぽ(作成者へのポジティブフィードバック)など
・投稿レシピのアクセスログや検索(たべみる)からブームやウォンツを発見できる
-食卓インサイト→食品関係メーカーや流通には魅力的
・生活者にとっての価値(楽しい生活)をイメージさせることがポイント
・cookpadの機能は消費者行動モデルの「使用・満足」で影響する
→指標を決めてPDCAサイクルをまわす取組みを各社と取り組んでいる
■HONDA・村井氏:企業コミュニティサイト「Hondadog」
・何故、自動車会社が何故ペット?
→ペットは公共交通機関がNGな場合が多く、車との親和性が高い
→ターゲット層とペットオーナー層のカブリが大きい
・サイトにこだわりがある担当者がいないと×
→コンテンツを代理店から買っていては永遠に超えられない
・クチコミ対応はリスク回避上大変
・愛犬家視点でコンテンツを束にしたサイト
→「きちんと」コミュニケーションをすることが重要。SEO対策も「きちんと」
■facebook・児玉氏:ソーシャルネットワークがもたらす実生活とインターネットの融合
・KeynoteによるFBの概念の説明
→これは文章では説明しきれない・・・。
・Webの普及に伴って文化となっていた「実名の禁止(匿名の推奨)」がFBの登場で変化。
・もとはハーバード大のクローズドなコミュニケーションツール。次第にアイビーリーグ→世界というように拡大。
→【私見】なるほど、クローズドな関係から始まったので実名がデフォルトな文化が形成された、というわけか?
・ソーシャルネットワークとWebページは別の構造にある
-SNSやサイトの一つではない。むしろリアルネットワークの延長線上にある。
・さらにゲーム、広告、クーポン機能も追加(現在はfreeで展開)
■パネルディスカッション
・ソーシャルグラフ:友人など個人的な関係⇔オープングラフ:興味関心のあるものの結びつき
・ブログ、twitterよりも「いいね!」のハードルは小さい。
・facebookはある程度「仮面」をつけた個人。mixiほど私的過ぎない。
-事実には公開してもいい/したくない事実がある。FBが許容するのは前者。
・ソーシャルサーチ:マスデータによるページランクづけではなく、類似の価値観を持つソーシャルグラフをもとにランクする
・twitterはhuman filtered RSSといえる
・情報過多時はヒューリスティックな情報処理を行う
-準拠集団、期待集団を参考に
→【私見】FBはこの情報処理が行いやすいツール
・facebookは各国とも普及の臨界点を超えると急激にユーザーが増加する
→周囲を巻き込む力が生まれる、という仮説
■全体の感想
山本先生の研究は個人的には興味深く、原典を読みたい・・・と思っていたら、読むべき論文リストに入っていました(汗)
cookpad森下氏の話を聞いて、食に関する消費者行動をもとにしたMK活動をする上で協力なデータであると改めて痛感しました。
この分野、既存リサーチ(食に関するダイアリー調査)では相当協力なコンセプトが打ち出せない限り太刀打ちが難しいのではないか、とも思います。(かならずしも戦う必要はない、と思いますが。)
市場反映性も女性の人口構造とのカバレッジを見る限りではcookpadに軍配があがるでしょう。
また、MK施策を投入しても調査モニターではないので効果測定やり放題なのは魅力です。
HONDA・村井氏の話で印象に残ったのは「きちんと」。
Hondadogは決して目新しいものではないのだけど、愛犬家視点でコンテンツを作り、リスクを踏まえた上で当たり前のことを当たり前にするというなかなかできないことをやっているように見えます。
facebookのコンセプトの先鋭性に隠れてしまった印象はありますが、非常に重要な示唆に富んでいたように思います。
facebook・児玉氏は非常に明快にFBのメリットを伝えてくれました。
FBの魅力に懐疑的だった僕も使ってみようという気に(笑)
目指しているところはコミュニケーションのプラットフォームとしての機能。
児玉氏の発言にもありましたが、プラットフォームを見越して新しいビジネスを考えていくのも先見性のある人であれば必要でしょう。
日本での普及には懐疑的な意見も世の中には多いようですが、私にはよくわかりません。
ただ、FBの持つコンセプトは今後変わらぬ注目点になるような気がします。
今日はここまで。