時系列分析と状態空間モデルの基礎: RとStanで学ぶ理論と実装
時系列分析と状態空間モデルの基礎: RとStanで学ぶ理論と実装
- 作者: 馬場真哉
- 出版社/メーカー: プレアデス出版
- 発売日: 2018/02/14
- メディア: 単行本
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※著者のブログ「Logics of Blue」は時系列解析の実践を行う上で非常に勉強になるサイトで、日々勉強させていただいております。
本書も上梓から遅れること約1年、ようやく手に取り拝読。(入手当時はAmazon品薄で、ヨドバシ.comから買った。)
初学者にもわかりやすく、親しみやすい文体でスムーズにBox-Jenkins法や各種時系列モデル、そして状態空間モデルを理解することができる。
Rユーザー、Stan遣いで「当該領域を即実践したい」という方々には最適な一冊といえると思う(pythonユーザーだとしても、十分に役立つ内容ではある)。
自分自身は、「ちょっと時系列分析を鍛えなおしたいなぁ・・・」という動機で沖本先生の書籍を先に読み(難解な部分は一旦おいておき)⇒本書を読み実践⇒理解を深くしたい部分を沖本先生の本に戻るという形で理解を深めていった。
経済・ファイナンスデータの計量時系列分析 (統計ライブラリー)
- 作者: 沖本竜義
- 出版社/メーカー: 朝倉書店
- 発売日: 2010/02/01
- メディア: 単行本
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一連のプロセスを通じて、各時系列解析手法のプロコン・解析手続き・TipsをUpdateできたように思う。
時系列データを取り扱うといっても、予測・変数構造理解など分析者の着眼点はその時に応じて当然、異なる。一冊で時系列解析の体系をすべて理解することは困難であるが、本書はその導入として現時点で最適であるように思う。
ファンベース ──支持され、愛され、長く売れ続けるために
- 作者: 佐藤尚之
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2018/02/06
- メディア: 新書
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上梓されたから随分たってしまったがようやく読むことができた。
昔話になってしまうが、2008~2009年くらいに仕事で相当悩んでいた。
まだまだ経験値がなくて、リサーチというマーケティング活動の中では狭い領域の若手で。
それでも、(その当時の自分の狭い視野の)「マーケティング」に何か異物感を感じていた。
やることの理はわかる(あとで思えば理解は浅い)。でもなんかモヤモヤする。
その中で「クロスメディア」なる概念とかを見聞きするようになり、佐藤尚之さんの「明日の広告」を見たときに、なんだか救われた気がした。
「あぁ、こういう考え方もあるんだ」「こういう考え方をしていいんだ」
・・・で、結局、根本的にリサーチ仕事が変わったわけではないのだけど、「自分はこういう考え方がスキなんだ」と気づいた。
月日は流れて、まぁ色々あって、当時とは違う仕事内容になっている。
そうした中で改めて、本書をとることがためらわれた。
今の自分で、本書の内容を受け入れられるかな・・・。(読んでもないくせに)
で手にとるのが時間をたってしまったのだが、結論から言えば「自分はこういう考え方はスキ」というのに変わりはないし、今の仕事(はたまた自分が生きる上で)に組み込むことだってできるのではと味わった。
前置きがダラダラしてしまったが、本書では「ファンベース」という考え方を丁寧に提示した上で、それをどう実現するかについて示唆をくれる。
で、その効果はナンボなんだ、と問われることについてどう対応するかも(マインドセットを含めて)真摯に答えてくれている。データも示してくれている。
とはいえ、月日が流れた自分だからこそ、色々これを取り組む上でのハードルばかりを想起してしまう。
組織の中でこれを実行すること、成果につなげていくこと、それが可視化されるまでにどういう説得や仕掛けが必要か。
これを「ゲンナリしてしまう」とするのか「面白いじゃんよ」と考えて行動できるのか、が実現というか俎上にのるかを大きく分けるのだ(と本書を通じて自分の解とした)。
本書を読んで、この考え方が大切でないという人は少数だと思う(ビジネスのフェーズで重視度が違うのはまた別の話)。
でも、取組を初め、継続をしていくのが難しいということ、そのために必要なのは情熱だけでなく、「工夫」であることも本書は今の自分に教えてくれたと思う。
今、読んでよかったと本当に思った。
ドキュメント 戦争広告代理店
ドキュメント 戦争広告代理店〜情報操作とボスニア紛争 (講談社文庫)
- 作者: 高木徹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/06/15
- メディア: 文庫
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数年前から折につけ話題になる本でずっと気にはなっていたのだが、ようやく読んだ。
1990年代におきたボスニア紛争における表側・裏側で行われた「情報戦」についてのドキュメント。
恥ずかしながら近現代史に弱く、ボスニア紛争については「悲惨な戦い」というなんとなくな理解しかしていなかった。
ボスニア・ヘルチェコビナ共和国がアメリカのPR会社を雇い、先んじて情報戦を仕掛ける。
じわじわと、国際社会を「ボスニア支持」の論調に変えていき、セルビアを追い詰めていく。
本書では「情報の拡大再生産」「スポークスマンの印象形成」「強い『ワード』の生成・発信」「情報網を張り巡らし、キーパーソンの言動をとらえ、機を見ていかに仕掛けるか」などなど現在においても姿かたちを変えて行われていることの本質が描かれている。
情報戦で繰り広げられる事象と実態が乖離していようが、戦術の巧拙で世論は動き、国家や人々の命運をも変えていく。
あらゆる「情報戦」を考える上で本質を考えるヒントになるし、その諸刃の剣ともいえる力をこれでもかと感じさせてくれる本であった。
MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ
- 作者: 日高洋祐,牧村和彦,井上岳一,井上佳三
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2018/11/22
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仕事で「MaaS」という言葉をよく耳にするようになった。
あまり調べもせずに「ウーバーとか、ああいうのでしょ?」と適当な理解でいたのだけど、本書がちょうど出ていたので「ちゃんと理解をしとこう」と手にとる(正確に言うとkindleでポチる)。
本書では0~4段階のMaaSレベル定義(スウェーデンのチームが提唱)を先に提示した上で、先進的にMaaSが進んでいる国の事例や国内動向を広く紹介している。
上述の自分の理解はここでいうMaaSでもなんでもなく、レベルでは0に相当するもの。
情報が統合されるレベル1、予約・支払が統合されるレベル2、提供するサービスが統合されるレベル3、社会全体目標が統合されるレベル4。
日本ではままだレベル1が、進んでいる国ところではレベル3に達している、とのこと。
レベル3の段階では各サービスが統合される≒サブスクリプションサービス化されているということで、この世界になると移動体の「利用」の便益が所有を大きく上回ってくると思う。(とはいえ、所有をする喜びはそれはそれで存在はするはず。)
各国の背景や政府の動き、クルマ生産国であるか否かなど、個別事情がMaaSレベルの移行スピードには大きく影響しそうではある。
ただ、日本を含めて移動体の「所有」「利用」が大きく変わりうる戸口にいることは間違いなく、変わらなかったら変わらなかったで・・・かなりマズイよな・・・と・・・。
FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
- 作者: ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド,上杉周作,関美和
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2019/01/11
- メディア: 単行本
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ビル・ゲイツが昨年選んだ本のひとつにあったので興味はあった。
https://gigazine.net/news/20181205-bill-gates-best-books-2018/
洋書ね・・・、うーん積読も多いなかツライなぁ、ということで手が出ずにいたのだが、
1月ど頭から訳書がkindleで読めるということでポチった。
著者の名前は「どっかで聞いたことあるなぁ」とか思っていたら、あぁTEDですごいビジュアライゼーションで話題になった人かと読みはじめて思いだす。
本書は、個人の知識によらず、強力に人々の判断を支配する、10の思い込み(本能)を定義し、データと事例に基づいて紹介していく。
著者は公衆衛生学者でフィールドワーカーであり、その生々しい事例に引き込まれるし、10の本能からいかに人々が逃れられないかをこれでもかと思い知らさせる。
とはいえ、各思い込みに対抗する上でのヒントをマインドセットや行動の形で提示していくれている。
救いだ。良書だ。
では、このヒントを実践すれば・・・と短絡的にいかない。この実践はなかなかにハードルが高い。
「データを集め、可視化をする。」
集めやすいデータを可視化するのは容易(それでも「メンドウだ」と思う己とは戦わなければならない)だが、集めにくいデータを集めるのは、適切なタイミングでそれなりの「仕掛け」を作らなければならない。それには準備が必要である。ノウハウも必要である。
だからこそ、本書の重要性は高まる。(とくにデータに携わる仕事の人々には)
データを集め、事実に接近していくことの重要性に気づくことで、どう「工夫」をするかに思考は張り巡らすようになる。
そして、バイアスにとらわれず検証課題を設定できるか、にもかかわる。
あと、人間生きていると色々とパニックになることも多い。このときに状況を冷静に見つめるための視座を獲得できる点でもよい。
今の自分が読んで得られるものと、もう少し前の自分が読んで得られただろうものと、これから先の自分が読みかえして得られるものが結構違うのだろうな・・・と思って読了した。
昨年(2017)見た映画
備忘録として、映画館で見たものを。
なんだかんだで5本くらい見れた(育児しながらの隙間で)。
□ラ・ラ・ランド
多幸感溢れる序盤から、終盤のなんともいえない切なさを味わった。
それなりに年を重ねていくと、心の琴線に触れる終わり方だな、と思う。
□ハクソー・リッジ
沖縄戦シーンが口あんぐりになる迫力であることはいうまでもなし。
戦争映画の定番であるブートキャンプなどを着実に押さえつつ。
主人公の宗教観などバックグラウンドを理解しながら再びみたいなぁ、と思う。
□ナイスガイズ
ライアン・ゴズリングのララランドとの振れ幅がスゴイ。
バディものであり、コメディタッチであり、親子ものであり、自分の好きなものがてんこ盛りになっていて◎。
ラッセル・クロウってあんな体だったっけ・・・と思いながら、不器用な男感もよし。
□ギフテッド
天才少女役(マッケナ・グレイス)の子がかわいくて、泣かせる。
数学の証明解くシーンとかギフテッドの描き方とかどうなんだろうとか、
クリス・エヴァンスがあんな生活していて、あんな良い体型維持できるのか?
とかちょっと考えてしまうが、そんなことすらどうでもいい。
教育とはなんだろう、どうすべきなんだろうとまた考えてしまうし、何が大事かという一見自明なこともまた突きつけられる。
□ジャスティス・リーグ
画のかっこよさに尽きる(ワンダー・ウーマンが特にいい)。以上。
他のDCユニバース作品をあまりみていないので、今回ジョス・ウェドンが入っていることによる編集の小気味よさが良いという話もあり、これがカッコイイ画をたっぷり堪能できる遠因なのかなぁ、と感じる。
この半年くらいのこと
たかだか半年(6か月間)であるが、備忘録として。
仕事の話はほぼ割愛。
□4月
子供二人が保育園に通い始める。
二人は別々の保育園に通っている(距離は近いのが救い)。
とはいえ、それぞれの保育園の準備・ルールはちょっとずつ違うので、登園時はとくに大変。
自分は二人の登園がメインなので、慣れるまでは大変だった。
毎日オリエンテーリングをやっている感覚。
当然ながら子供も思うように朝動いてくれるわけではないので、忍耐も必要(途中から「ま、いいか」と思うことが重要と考えるようになった)。
毎朝、距離は近いとはいえ結構歩くので、日中の歩数が増えた。
そして体重も減った(9月末までにこの効果が-3kgくらい)
二人ともスムーズに保育園になれたのはよかった。
子供が一番偉い。
□5〜6月
嫁さんが復職。
数年ぶりの復職なので、時短とはいえ結構大変。
そんな中で、5月〜6月にかけて、手足口病や胃腸炎が保育園で流行出すなどカオス状態に。
下の子が手足口病に、二人とも胃腸炎(軽いヤツ)を複数回なるなど、波状攻撃がスゴイ。
これにより、夜中に起きたり、対処する事項が増加し、自分の免疫も低下⇒風邪or胃腸炎というコンボ。
おかげで体重が減る(さらに-2kg)。。
※仕事もいくつか暴れたものがあっていなすのに、ちと疲れる。
□7月
嫁さん・子供も少し慣れてくる。
仕事も沈静化してくる。
人間ドックではA判定が多い。(たぶん健康的になった部分も多いのだろう・・・。)
が、4〜6月の反動から疲労が出てくる。
このあたりが一番半年でキツイ時期かも。
□8月〜9月
8月は嫁さん・子供が帰省するなどちょっと余裕も出てくる。
9月は、子供も自分も体調崩すことも相変わらず多いが、どうにかマネジメントできるように。
家庭でも仕事でも「1つ1つ対応していく/ボトルネックをとらえて解消することが重要」であることを改めて感じる
□総括
- ここ2年くらい徐々に・・・だけど、さらに家庭へのウェイトが高くなった半年。勤務時間に縛りを入れたり、在宅を活用したり、それ以外にも今までとスタイルを変えて働くことに悩むことも多かった。とはいえ、何をやり/やらないかを試行錯誤することは、この機会に関わらずしたほうがいいことであることに気づく。
- 基本、ウチは夫婦二人のみで日常はマネジメントしていく環境だが、ピンチ時は遠方の義父母のサポートを得ることもしばしば(とくに義父がパワフル)。ウチより育児環境が大変な家庭は五万といるわけですが、それでも隣の芝生が青く見えることもあったし、結構いろんな意味でツライ部分もあった。
- とはいえ、うちの会社が在宅勤務を導入していたり、なんだかんだいって環境に恵まれてはいて感謝するべきところが多い。申し訳ない気持ちだけだとマジでキツいので、感謝をするということが大事だと思った(もはや論理的な世界ではないけど、そういう結論)。
- イクメンとか言えば聞こえはいいけど、その家庭その家庭での最適を考えながらやっているだけ。その選択で得るものもあれば、失うものも飲みこむ必要がある。環境がよいからといって、頑張りだけでどうにでもなるものではない(そしてこれらはワーママがずっと過去悩み進んできたことの一片にすぎないことでもある)。
- 子供と過ごす時間は必然的に増える。仕事が残っていると焦ることもあるが「現在の時間に集中する/大事にする」ことを心がけるようになる(できていないことが多いが)
- どこかで「まぁいいや」と思うくらいが自分にはちょうどいいかな・・・とも思っている。
- あと、30半ばを超えたので、もともとない体力にもっと注意を払ってあげたほうがいいことに気づく。対応事項増加⇒睡眠不足⇒免疫低下⇒風邪・胃腸炎などにかかる等推進力低下のスパイラルになりがち。まぁ、寝ることが大事、ということです。