世界で勝負する仕事術

世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記 (幻冬舎新書)

世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記 (幻冬舎新書)


フラッシュメモリ・次世代メモリの研究者・竹内健氏の自伝的著作です。
ツイッターでフォローさせていただいており、そのつぶやきを興味深く拝見していたので、著書も読んでみました。


タイトルはちょっと「意識高い」系なのですが、内容は竹内氏の社会人生活の体験談を通じ、先端的な開発・研究に取り組む上での考え方や行動の背景を「疑似体験」できるものになっています。
所謂ルーチンワーク以外の仕事をプロアクティブに取り組むとき、道筋は自ら試行錯誤しながら切り開いていく必要があります。
このとき、不安や困難がつきまとうわけで、多くの人が日々こうしたことにアタマを悩ませながら取り組んでいるわけです。


その中でもとりわけ進歩が早いメモリ研究の世界で活躍する竹内氏の思考・行動は、私などとは当然困難や思考・行動のレベルが違うわけですが、切り開いていく上でのヒントが得られたように思います


また、竹内氏は技術者でありながら、MBAを取得しマネジメントのプロの視点を持ち、大学に転籍することで研究者としての側面を持っています。
こうした希有な特徴から、産学連携にあたって産・学それぞれの視点からメリット・デメリット・特徴を述べており、この辺りも参考になる部分が多かったです。
(なかなか両者の視点を深く考察できる人物はいらっしゃらないと思うので。)


個人的には本書は「頑張ろう」という気持ちを鼓舞するような自己啓発というより、先端技術に取り組む「先端層」の人の思考をツアーのごとく見ることができることに意義があったように思います。