ブランドマネジメント能力


今更ながらなのですが、私たちリサーチャーのクライアントが多く置かれている立場であるブランドマネージャーの仕事を深く理解するために読んでみました。
本屋でこうした目的で探していたのですが、本書くらいしか該当せず。。。


著者は外資FMCGメーカーのブラマネを努めたあと、航空会社でブランドマネジメント制を導入した実績があるブラマネのプロ、といったところのようです。


本書を読み始めると「ブラマネ絶対主義」とでもいうようなトーンで始まるので、最初は少々驚きました。
とはいえ、一般的なブランドマネージャー制が求めるブラマネへの期待役割はいわば「ブランドの経営者」であることを鑑みると、著者の筆致は納得できるものであります。


また、ブラマネに求められる能力は高くかつ広範なものであり、エクセレントな実績を残しているブラマネのコンピテンシーは相当レベルで高く、かつ(特に外資系では)プレッシャーは相当に大きいことが感じとることができます。


本書を読んで改めて思うことは、ブラマネが取り組む課題の1ブランチである機能をサポートする我々が彼らに貢献するには、彼らのビジネスプロセスを理解することが必須なのではないかということです。
場合によっては、専門性の高い素人としての機能を外部に求めることもあるかもしれません。
ですが、それは担当者間の個人的な関係性にとどまることが多く、組織として、機能として安定的かつ生産的な関係を築く上では、サポート側の理解および理解のもととなる情報をやりとりできる「信頼感」の醸成が不可欠なのではないでしょうか。
(当然、そこへ至るには、1つ1つの案件でのパフォーマンスが重要なわけですが。)


ごく稀にリサーチャー側が安易にクライアントに対して「提案」という名の「自分の感想」をポッと報告書に混ぜることがあると聞きます。
(大体、謎の「御社のマーケティング戦略」という言葉などが入っているようです。)
クライアントのビジネスプロセスの理解があればこうしたすっ飛ばした「提案」を行うことは、自身の無理解を不用意にアピールし、ひいては「信頼感」を損なうこともあります。
下手なジャンプをしないためにも、本書のような俯瞰したプロセスの理解と、クライアントとのコミュニケーションを通じた理解を合わせていく必要があると改めて感じます。