ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件


様々なところで推薦されている本で、僕も上司から薦められました。


平易な表現でかかれてはいるものの、そのボリュームはなかなか電車通勤の合間に読むには多く、なかなか手が出ないでいました。


年明けに新幹線の暇つぶしも兼ねて読み始めたのですが、衝撃を受けました。
まぁ、競争戦略の基本的な考え方をすでにご存じの方々にはそれほどでもないでしょう。
僕のようにこの辺りの観点がゼロの人間には文字通り衝撃でした。
今まで点で見ていた世界が、線でつながるように思え、見えない線を紡ぐという方向性のカケラを掴んだような気がしました。


本書は競争戦略の基本的な考え方を平易に(そしてシツコイくらい反復して)伝えてくれます。
これだけで価値があるようにも思うのですが、「ストーリー」の重要性と作り方をもう一つのポイントとして重きを置いています。
これは、経営戦略という大きな視点に限らず有用な視点です。


学者さんが書いている本なので、「実務には使えんよ」と一笑に付すのは簡単なのですが、本書で伝えているエッセンスを知っているのと知らないのとでは、企業のメカニズムの理解度が異なってくるように思います。
(既にエッセンスを体得されている方はもちろん必要ないでしょうが。)


例えるならば、武術の「型」のようなものでしょう。
それ自体を覚えることで「強くなる」わけではなりませんが、その流派の基本的な考え方を反映されているものを覚えることでその後の成長が変わってくるものといったところでしょうか。
一方で、社会人経験が浅い人が読んで得られるものはそれほど多くないようにも思います。
自分のステージに合わせて読み返すと得られるものが違うのではないでしょうか?


「イシューからはじめよ」を以前お薦めしましたが、本書はそれ以上にお薦めです。