もうひとつのプレゼン―選ぶ側の論理

もうひとつのプレゼン―選ぶ側の論理

もうひとつのプレゼン―選ぶ側の論理


日産自動車の広告畑を歩んできた著者による、プレゼンを「選ぶ側の視点」で解説した本です。


本書の優れているところは、提案サイドが通常は見えにくいクライアント側の意思決定プロセスが垣間見えるところにあると思います。
「プレゼン」という場でなくとも、クライアントのビジネスプロセスの理解は、提案サイドにとって必須であるにもかかわらず、提案サイドで育った人間にはイメージしにくいという課題があります。
結果として、「うーん」という提案に終始したり、あるいは期待を寄せられないという悲しい事態も往々にしてあることです。


本書は広告の意思決定過程について描かれているものの、他のプロセスに置き換えてみる事も十分に可能だと思います。
関係するクライアントの登場人物の機能は基本的に共通しているからです。


また、本書ではプレゼンは「プロセスのひとつ」として記述されています。
このことは、クライアントサイドでは当然のこととして捉えられている一方で、提案サイドには忘れられがちのように思います。
(もちろん、優秀な提案者は百も承知だと思いますが。)


こうしてみてみると、「クライアントサイドの経験」が提案側のクオリティを高める上で寄与しそうに思えます。
一方で、提案サイドの会社も、当然、会社を維持・成長させていくためのビジネスプロセスを廻しています。
提案サイドにいながら、ビジネスプロセスを理解するには、クライアントのプロセスに思いを巡らせることも重要ですが、自社のプロセスに客観的に目を向けることも重要なのかもしれません。