JMRXに行ってきた

さて、今回もJMRXに行ってきました。


○JMRX勉強会【次世代MRネクストステップに向けて】


まずは、MROC JAPAN・岸川氏より海外MR会議報告がありました。


海外の各種MR会議の報告なのですが、その数の多さに正直驚きがあります。
各会議で取り上げられている内容や登壇者には重複はあるのでしょうが、これだけ多くの情報共有が成されている海外と、年1回のJMRA総会がある日本では、その知識共有のレベルには天地の差があるのではないかと思わされます。


トレンドとしては、「ソーシャル」と「モバイル」。
「ソーシャル」に紐づく手法としては、ソーシャルリスニングやMrocsといった、昨今の日本のMRでもバズワードになりつつあるものです。
一方「モバイル」にはスマートフォンの普及を背景にした配信から即時性の反応や、位置情報データの活用に期待があるようです。
(位置情報のリサーチへの活用は以前、僕自身も考えていたことはありますが、あまり有効性が見出せなかったところです。その内容は気になる所。)


10月に開催されるESOMARの3D Digital Dimensions 2011が注目されているようです。
僕も行ってみたいものですが、ちょっと無理だろうなぁ。。。
また、「Listen First!」のラパポート氏が秋頃に来日されるとのこと。これも注目ですね。


二人目のスピーカーはクックパッド・中村氏。


クックパッド内でリサーチ担当をされている中村氏からは、クックパッドの特徴的なデータやその活用可能性について言及がありました。
個人的に親しくさせていたり、バックグラウンドの共通性も高いので、なるほどー、と思える内容でした。


中村氏はデータマイニングエンジニアが抽出するデータを施策につなげる「翻訳者」の役割も担うポジションでもあると思います。
オンライン定性に次世代の目は向きがちですが、彼のようなポジションこそ今後事業会社でより求められていくように個人的には思います。


より深くインナーのデータ(ログ系)とアスキングのデータの役割など、もう少し突っ込んだ内容が聞きたかったのも正直ありますが、時間の都合上、「さわり」に触れるに留まった感がありました。
また別の機会にお話いただけると、僕たちにとって非常に勉強になって・刺激的な内容になると思います。


最後はクロスマーケ・山崎氏による「ネット調査の過去・現在・未来」 のお話でした。
ネットリサーチ草創期から携わってこられている山崎氏のお話は、かなり刺激的な内容でした。


僕自身は「伝統的調査会社から見たネット調査の歴史・限界」の一端を以前の部署で知ることができましたが、「ネット専業会社から見たネット調査の歴史・限界」を聞いたのは初めてでした。


あの場にいた人は何か心に思うものが得られたのではないでしょうか。



最後に。


今、次世代リサーチと呼ばれているMrocsやソーシャルリスニングは、実施〜アウトプットを作成する上ではかなり「労働集約的」な作業が発生すると想定されます。
要は、人件費に対する効率が必ずしもよい商売ではないような気がするのです。
この点、ネット定量とは随分違うポジションにあると思います。(従来の定性の工数的削減とは独立にある。)


また、アウトプットも報告書をポンと渡せばいいものではないし、なんとなくワークショップやって終わり、というものでは顧客サイドから見ればハードルは高いことでしょう。(社内稟議が相当に通りにくいはず。)


とはいえ、だからといって、売れないねというわけではありません。
従来の顧客へのデータ提供の仕方自体を考え直す必要があるということでしょう。
レポートして納品、報告して納品という形式から、よりコンサルティングの領域に近いサービス提供が必要なのではないかと思います。


そうした時、「適正価格」はどこにあるのか・・・。
各種差別化が行われたMROCブームが業界に来るのかもしれませんが、レポートだけをただ提供するようなサービスを、安価に提供して、MROCの真価が発揮されないまま一過性のブームになること、は少しさびしいように思います。