たかがビールされどビール―アサヒスーパードライ、18年目の真実

○たかがビールされどビール―アサヒスーパードライ、18年目の真実


先日お会いする機会があった、とある方に「マーケティングアナリストを目指す方には必須の文献かと思いますので是非読まれることをお薦めします」とのお話をいただき手に取りました。


アサヒスーパードライ開発にあたってのマーケティングサイドの責任者・松井氏による自叙伝的な著書です。


読み始めるとわかるのですが、松井氏の「情念」が感じられる内容になっていて、クセのある文章です。
まさに自叙伝的な位置づけなので、客観的に当時のビール市場を知る人が読むとまた違った読み取り方ができるように思います。


現在の僕が感じた感想としては、「事業会社での企画思考・推進過程を追跡できる」ように思いました。
もちろん、営業・企画サイドの視点であり、開発側の視点ではないのですが、マーケティングプロセスの基本線の一端を理解できるように思います。


また、松井氏の市場洞察の視点は、「正統派」で学ぶべき点が多いと感じました。
僕などは様々なデータから多角的に市場洞察を行える環境にいるわけなのですが、枝葉末節に洞察が影響されることが少なくありません。
達成すべき目標を立案し、そのための環境要因を熟知し、その上で堅牢な思考過程のもとに市場洞察をする。
ストロングスタイルであり、マーケティング本などでは決して勉強することのできない、まさに実務家が体得すべきスタイルであるように思います。


自らの不遇を記述されているところはまさに情念を感じるところなのですが、組織の中で企画を推進・実現していく上での苦難も記述されていて、事業会社の企画担当に「共感」する上での背景を理解することの助けになるように感じます。


市場洞察の視点、マーケティング担当の思考について理解を図る上で良書だと思います。
(繰り返しますが、「情念」を感じる文章ですが。。。)