ファンベース ──支持され、愛され、長く売れ続けるために

ファンベース (ちくま新書)

ファンベース (ちくま新書)

上梓されたから随分たってしまったがようやく読むことができた。


昔話になってしまうが、2008~2009年くらいに仕事で相当悩んでいた。
まだまだ経験値がなくて、リサーチというマーケティング活動の中では狭い領域の若手で。
それでも、(その当時の自分の狭い視野の)「マーケティング」に何か異物感を感じていた。
やることの理はわかる(あとで思えば理解は浅い)。でもなんかモヤモヤする。
その中で「クロスメディア」なる概念とかを見聞きするようになり、佐藤尚之さんの「明日の広告」を見たときに、なんだか救われた気がした。
「あぁ、こういう考え方もあるんだ」「こういう考え方をしていいんだ」


・・・で、結局、根本的にリサーチ仕事が変わったわけではないのだけど、「自分はこういう考え方がスキなんだ」と気づいた。

月日は流れて、まぁ色々あって、当時とは違う仕事内容になっている。
そうした中で改めて、本書をとることがためらわれた。
今の自分で、本書の内容を受け入れられるかな・・・。(読んでもないくせに)

で手にとるのが時間をたってしまったのだが、結論から言えば「自分はこういう考え方はスキ」というのに変わりはないし、今の仕事(はたまた自分が生きる上で)に組み込むことだってできるのではと味わった。


前置きがダラダラしてしまったが、本書では「ファンベース」という考え方を丁寧に提示した上で、それをどう実現するかについて示唆をくれる。
で、その効果はナンボなんだ、と問われることについてどう対応するかも(マインドセットを含めて)真摯に答えてくれている。データも示してくれている。


とはいえ、月日が流れた自分だからこそ、色々これを取り組む上でのハードルばかりを想起してしまう。
組織の中でこれを実行すること、成果につなげていくこと、それが可視化されるまでにどういう説得や仕掛けが必要か。
これを「ゲンナリしてしまう」とするのか「面白いじゃんよ」と考えて行動できるのか、が実現というか俎上にのるかを大きく分けるのだ(と本書を通じて自分の解とした)。


本書を読んで、この考え方が大切でないという人は少数だと思う(ビジネスのフェーズで重視度が違うのはまた別の話)。
でも、取組を初め、継続をしていくのが難しいということ、そのために必要なのは情熱だけでなく、「工夫」であることも本書は今の自分に教えてくれたと思う。


今、読んでよかったと本当に思った。